基礎編 単元04演習:旅行先の選択を推定する
基礎編 単元04
単元03では,選択の記録から係数を求める考え方を学びました.この演習では,旅行先を選んだ300人の記録を使い,自分で効用関数を書いて推定します.項を一つずつ加えながら,当てはまりの変化と係数の読み方を確かめます.
演習の進め方
旅行先を選んだ300人の記録から,効用関数を書いて係数を推定します.

1記録を見る
300人それぞれの,四つの候補の時間・費用と選んだ旅行先
2式を書く
四つの目的地の効用関数Vを,自分で書く
3推定する
記録全体の対数尤度が最大になる係数を求める(単元03と同じ考え方)
4結果を読む
係数の符号と大きさ,対数尤度と調整済み尤度比ρ̄2
演習用に作成した架空データです.
演習の進め方
段階2時間+費用
V = βtT + βcC
係数は四つの目的地で共通
段階3+訪問経験
V = βtT + βcC + βRR
ダミー変数(あり=1,なし=0)
段階4+目的地の定数
V = α + βtT + βcC + βRR
四つのうち基準の一つを0にする
段階5+自然観光重視
V = α + βtT + βcC + βRR + γN
γは目的地別.基準の一つを0にする
下線の項が,その段階で加える項です.各段階で推定し,対数尤度と調整済み尤度比ρ̄2がどう変わるかを比べます.
演習1記録を見る2時間+費用3+訪問経験4+目的地の定数5+自然観光重視
東京から1泊2日の旅行を計画する人が,四つの候補から旅行先を選びました.各候補の時間・費用と,選んだ旅行先を確認します.
演習1記録を見る2時間+費用3+訪問経験4+目的地の定数5+自然観光重視
まずは所要時間と旅行費用を使います.時間の係数βtと費用の係数βcは,四つの目的地で共通です.
補足
入力の例:bt*T + bc*C.btはβt,bcはβcです.TとCは,その目的地の行の値を表します.項の順序と空白は自由です.
演習1記録を見る2時間+費用3+訪問経験4+目的地の定数5+自然観光重視
同じ時間や費用でも,以前に訪れたことがあるかどうかが選択に関わるかもしれません.訪問経験を加えます.
「あり/なし」のうち,式に入れるのは「あり」のRだけです.「なし」は抜いた基準になります.
補足
前の段階の式に bR*R を加えます(bRはβR).
演習1記録を見る2時間+費用3+訪問経験4+目的地の定数5+自然観光重視
時間・費用・訪問経験だけでは表せない目的地ごとの平均的な違いを,定数α(選択肢固有定数)で表します.
四つの効用に同じ数を足しても,目的地間の差と選択確率は変わりません.そこで,一つの定数を0に決め,残りをその目的地との差として推定します.
補足
定数は a1(箱根),a2(日光),a3(河口湖),a4(伊豆高原)です.基準の目的地の定数は書きません.
演習1記録を見る2時間+費用3+訪問経験4+目的地の定数5+自然観光重視
自然の景色を楽しむことを重視する人はN=1,それ以外はN=0です.この値は,同じ人の四つの行で共通です.
Nには目的地ごとの係数γを付けます.四つのγに同じ数を足しても確率は変わらないため,定数αと同じく,基準の河口湖のγを0に固定し,残りは基準との差として推定します.
補足
g1(箱根),g2(日光),g3(河口湖),g4(伊豆高原)を使い,g1*N のように書きます.基準の目的地には付けません.
演習1記録を見る2時間+費用3+訪問経験4+目的地の定数5+自然観光重視✓振り返り
まとめ
300人の旅行先の記録で,自分で効用関数を書き,その式のとおりに係数を推定しました.項を加えるたびに,対数尤度と調整済み尤度比で当てはまりを比べました.
共通の係数,ダミー変数(一つの区分を抜いて基準にする),目的地ごとの定数(一つを0にする),個人属性に目的地別の係数を付ける理由を,式とデータの列の対応で確かめました.
参考:Train, K. E. (2009) Ch.2 §2.5, Ch.3.300人の旅行先選択は演習用の架空データです.